【SPECIAL INTERVIEW】"POSTINA®"アイコンへの道のりと別注裏話。
2016.12.27
「"POSTINA®"アイコンへの道のりと別注裏話。」
いまやザネラート=ポスティーナと想起させられる程のアイコンモデルとなった"POSTINA®"。
本企画では今まであまり語られてこなかったポスティーナのストーリーについて、ザネラートの輸入代理店である株式会社アマン 取締役 営業本部本部長の藤井尚志にインタビューを敢行。
また併せて今季アスティーレ ハウスで完全別注をしたポスティーナM+についても存分に語ってもらった。
過去にボリオリやフィナモレなどを表舞台に押し出した経歴を持つプロの着眼点から製作されたポスティーナには、デザインへの拘りだけでなく使用するユーザーへの思いやりがたくさん詰まっておりました。。。
>ザネラートとの最初の出会いはいつでしたか?
「一番最初は、当時ボリオリのセールスマネージャーのジャンルカがザネラート社長のフランコと友達で、いいバッグがあるから見に行こうと誘われてジャンルカとザネラートの昔のショールームに行ったのが最初の出会いで、7-8年前ぐらいですね。
当時は違うディストリビューターの代理店があったので、ひとまず見てバッグをフランコからサンプルをもらって、一旦終わりました。(最初の出会いは。)
その後ディストリビューター契約がザネラートの前の代理店と契約が切れる時に改めて、フランコからオファーを頂きました。」
>当時はまだポスティーナは無かったのですか?
「ポスティーナ自体は1モデルしかなかったです。
ただ当時はそんなにコレクションも多く無くて、
ポスティーナはそこまで認知度は高くありませんでした。
その頃に日本で浸透していたのはビジネスバッグのモデルだったのですが、
転換してポスティーナを主力におき他のモデルを縮小して、ポスティーナのバリエーションを増やして開発しました。」
>当時主流のモデルを縮小してポスティーナを主力に置いたのは驚きですね。
「このデザイン(ポスティーナ)というのは、
イタリアの郵便局からザネラートが正式に認められた、ザネラートだけが許されるデザインなので、他のメーカーがこれと同じデザインを作るという事はコピー品となってしまう。
なので、アイコンとしてこの形を押していこうという事にしたんです。
さらに当時使っていた革や付属も全て見直しリモデルしました。」
ポスティーナM+誕生秘話 。
>その後ポスティーナはどういったアイテム展開をされたのですか?
「最初にデザインは一つなので、前の素材は完全にやめて素材バリエーションを3つぐらい増やしました。
その後さらにバリエーションを増やして、小さいサイズを作りました。」
>小さいサイズというのは?
「MとM+という大きさのモデルを作ったんです。
もともとはレディースのポスティーナMを見た男性のバイヤーが、これ、このサイズ(M)でメンズはないのか?メンズでもいいよねって話になったのがきっかけで、のちにMをメンズにして実際に持って頂いたのですが、
結局その場では小さすぎてレディースっぽいという話になったので、MとLの中間のM+を作ったんです。
そうしたらM+は大変ご好評頂いてお陰様でオーダーがどんどん増えていきました。
あとはマルカプントという現在では定番のカーフレザーも開発して、さらにカラーバリエーションも揃えましたね。」
男物っぽい表情のポスティーナ。
>現在ザネラートのアイコンモデルとも言われる"ポスティーナ"にそんなストーリーがあったのはとても興味深いですね。
続いて今回完全別注したアスティーレ ハウスの"ポスティーナ"についてお話をお聞かせ下さい。
「ネイビーのバッグは売れますが、とりあえず何でもかんでもネイビーという潮流を外したかったのでやりたくありませんでした。
ポスティーナというモデルは割とユニセックスデザインというのもあり、ちょっといかにも男物っぽい表情にしたかったので、
素材も色もあえて定番のマルカプントでは無いスエード素材のグレーとベージュという色を選びました。」
機能性を重視。
「色のトレンドは全く意識していなくて、黒やブラウンなど様々なバリエーションがありましたが、スエードは洋服に色が付きやすいという問題があるので濃い色のものは使用したくありませんでした。
また表面の革と背面の革の素材がコンビになっているのも、背面はどうしても持った瞬間にジャケットとか洋服に接触してスエードの繊維がつきやすくなるので、デザイン性でコンビにしたわけではなくて、機能性を重視して背面はマルカプントのカーフレザーにしました。持ち手もショルダーもスエード素材では無くマルカプントなのも同様の理由ですね。」
ポスティーナのために開発されたスエード。
「余談ですがこのスエードを開発するのには結構時間がかかりました。
ポスティーナは体にフィットしやすいように柔らかくならないとこの鞄の良さがでてこないので、やっぱり固い素材というのは不向きなんですね。
ですが、スエードは普通の革よりどうしても耐久性が悪く切れやすいので、革の厚みの調整を何回もして耐久性を保ちながらも重くなりすぎず軽くするように試行錯誤しました。」
「また切れやすい底面の四角には、ポスティーナのマルカプントの仕様には通常ないマルカプントのカーフレザーで補強を付けており、今回完全別注したポスティーナには細部まで拘りました。」